PROGOSでの評価指標であるCEFR(セファール/シーイーエフアール)とは、ヨーロッパで「外国語学習者の習得状況・言語運用能力」を示す共通の基準として設けられたものとなっており、英語の評価指標として使用している等、学術界・ビジネス界で広く活用されています。
※CEFRについて詳しくはこちら
CEFRでは、その言葉を使って実際になにができるかを評価基準としています。また語学の4技能(リーディング・ライティング・リスニング・スピーキング)ならびにその総合力を測ることができます。実際にできるかという基準はCAN-DOディスクリプタ(能力記述文)で示しています。PROGOSのテストを受けていただくと自分のスピーキング力のCEFRレベルの内容が確認できます。
このCEFRについて、先日弊社のリリースでグローバルビジネスで英語を使うためにはB2以上が必要であるがCEFR B2以上のスピーキングレベルを持つ日本人受験者は約6%に留まるという紹介をしました(参考:42万人(*1)の受験データから日本人の英語スピーキング力の実態が判明 グローバルビジネスで通用するレベルはたった6%)。
グローバルビジネスで必要とされるスピーキングレベルのCEFRのB2とはどのような状態なのか。そして、なぜB2が必要なのか。B2にはどのようにすれば到達できるのか、またどのような学習方法があるのかを解説していきます。
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CEFRの評価指標は一番初級者のレベルがA1となり、そこからA2~B1レベルとなり、
C1レベル以上になるとネイティブスピーカーの領域と一般的にいわれるレベルになっています。
▼参考:CEFRレベルに応じてできること
CEFRレベル | できること |
B2 High and above | 幅広い話題に関して、その場で詳細なプレゼンテーションができます。幅広い口語表現を使い、話題が広範囲に渡る会話でも積極的に参加することができます。 |
B2 | 自分が興味ある話題に関して、準備をすれば詳細なプレゼンテーションができます。十分な範囲の単語や表現を使い、自分が興味のある話題に関して議論ができます。 |
B1 High | 自分が興味のある社会情勢について、ある程度スムーズなプレゼンテーションができます。詳細な説明を加えながら、社交的な会話を続けることができます。 |
B1 | 幅広い単語、フレーズ、表現を使い、身近な話題に関してより詳細に伝えることができます。幅広く基本的な単語や表現を使い、社交的な会話を続けることができます。 |
A2 High | 一連の簡単な単語、フレーズ、文章を使い、日常生活に関連した話題について話すことができます。幅広く基本的な単語や表現を使い、日常でのありふれた状況においてやりとりすることができます。 |
A2 | 一連の簡単なフレーズや文章を使い、ある程度の身近な話題に関して話すことができます。一連のフレーズや文章を使い、身近な話題に関して基本的な情報や簡単な意見を伝えることができます。 |
A1 High | 限られた範囲の構文の中で、簡単な単語やフレーズを使い、限られた身近な話題に関して話すことができます。限られた表現を使い、身近な話題に関して簡単な質問をしたり答えたりすることができます。 |
A1 | 暗記した表現を使って、家族や日課、趣味などの自分自身のことを伝えることができます。暗記した表現を使い、自分自身に関する話題について尋ねたり答えたりすることができます。 |
Pre-A1 | 差し迫った状況では、非常に基本的なフレーズを使って、欲しいものを訴えることができます。簡単な単語や基本的なフレーズを使って、名前や年齢などの自分自身についてのとても限られた情報を伝えることができます。 |
このなかで、ビジネスで英語を使うためにB2を目指す価値があるのかというところを解説していきます。
CEFRにおいて、B2レベルというのは幅広い話題に関してその場で詳細なプレゼンテーションができるというCAN-DOステートメントがあります。そして、幅広い口語表現を使い話題が広範囲にわたる会話でも積極的に参加することができます。
一般的にCEFR B1レベル以上は「自律的な学習者」と呼ばれ、英語をつかった基本的なコミュニケーションが取れる人たちになります。「英語を話せますか?」と聞かれたときに、
「日常会話レベルならなんとかできます」と回答される方はB1レベルというイメージと考えてください。
このB1レベルがB2になるとどう変わるのか。
ひとことで言うならば「相手の土俵で勝負できる」ということになります。自分ではトピックが選べない、馴染みがないような話題を展開されたり、議論の内容が多岐にわたるような幅広い話題にも自分がコントロールして目的を達成するためにどのように話したら良いか、その会話の戦術を自分の中で組み立てながら話すことができるレベルがCEFR B2レベルということになります。
たとえば海外にいくと、まわりに日本人はいない状況ですし習慣や文化が異なります。基本的には周囲の方と共通認識はないということになります。このため、「〇〇はこんな感じだよね」と言ったような曖昧なコミュニケーションが一切通用しない環境においてビジネスを推進していかなくてはならない状況になります。
ビジネスを推進するということは様々な定義があると思いますが、一般的には現地の方々の生活に変化を起こす、ということになると思います。基本的に人間は変化を嫌うもので、最初はよかったと思っているものが変わったり、行動を変えられたり、価値観を変えられたりすることに関して拒否反応を受けることが多くあると思います。
言葉が全てではありませんが、海外でビジネスをしていくということは、このように相手の土俵において、そこで変化を起こすために必要なコミュニケーションをしなければならないということになります。海外でビジネスを推進するために必要な言語能力とは相手の土俵で勝負できないといけない、自分の話しやすい話題と自分の話しやすい心地よいスピードや話し方で通用するような状態ではないということです。
ここで、あらためてCEFRレベルのB2はB1 Highとどう違うのかということを説明します。
CEFR でB1 High レベルの英語を話すイメージとしては「流暢に話せる人」としてみえる状態です。ただ、B2との決定的な違いとして、B1 Highレベルはこの「英語を流暢に話せる状態」というのが、馴染みのあるトピックや、自分と共通理解がある人たちに対してに限定されているということです。
つまりは自分の土俵では勝負ができているという状態です。B1 Highとは、相手が協力的であれば自分の思うようにコミュニケーションをすすめられるというようなことがCEFRのCan-Do
ステートメントとして定義されております。
これがB2になると、相手が協力的でなないという状況であったり、自分の馴染みがないトピックであってもとか、相手が立場的に利害が対立する状況であっても、英語でコミュニケーションを成立させるための話し方ができる、つまりは「相手の土俵で勝負ができる」という状態になります。
このB1 HighとB2の間にある壁について、一般的な状況においてはどちらもすごく英語をうまく話をしているようにみえるかと思います。ただ、ビジネスでのインパクトで比較すれば明確な違いがイメージできるのではないでしょうか。
ここまで、B1とB2の違いを説明してきましたが、そもそもCEFR におけるスピーキングスキルとは我々日本人、とくに大人世代が学生時代に勉強してきた英語の学習方法とは少し違います。学校で習ってきた英語は言語としての正しさであったり、その言語自体の使い方を学習するような教育を受けてきていました。
しかし、CEFRとはコミュニケーションスキルを身につけようということが目的で定義されている指標となっていますので、言語としての英語がどんなに上手くても「コミュニケーションの目的が達成されなかったら評価されない」という考えが根底にあります。
コミュニケーションの目的達成の一例としてまず1つ目に評価するのは、たとえばあなたが
セールスパーソンだった場合、販売相手とのコミュニケーションにおいて、商品を売ることができているのかという目的の達成度を測っています。相手に対して「この商品はいかがですか?」「値段はいくらです。買いませんか?」というように、ちゃんと物を売っているのと判定します。
2つ目のポイントは、その言語の上手さという点になります。先ほどのセールスパーソンの話の続きとなりますが、いきなり「これいくらいくらです!買ってください」と売り込んだ場合、
もしかしたらたまには買ってくれる人もいるかもしれません。しかし、だいたいは難しいかと思います。
あなたがセールスパーソンだった場合、売り先の相手はどのような状況だろうか、例えば人数ですとか価値観ですとか、いま何を求めてるかという部分などをまずヒアリングしてから、それに対して適切なコミュニケーションを取っていき、相手があなたの売る商品を理解して「それならば買いたいな」って思うような段階を踏んでいくと思います。これを言葉にして伝えているかなど、そういったことを評価しています。
この2つのポイントをスピーキング能力として測るというのがCEFRにおける目的達成の測定基準となります。重要なこととして、CEFRで計測しているのは言語を使って何ができるのかという達成度合いであり、スピーキング能力だけではないこと、また成果への達成を測るものではないことをご注意ください。たとえばセールスパーソンの例でいうとコミュニケーションは重要ですが、売る商品も同じくらい重要かと思います。CEFRで測定しているのはコミュニケーションの部分だけとなり、どれくらい売れるのかといった事は測定していません。
さて、CEFRでの測定について当然ですが大事なのは1つ目のポイントです。言語をうまく滑らかに話をしていても、セールスパーソンとして商品を売っていなかったらそもそも意味がないので、1つ目のポイントが優先度としては高いです。
PROGOSではこのポイントをそれぞれタスク遂行能力(Task Achievement)と、発話に関する以下6項目で評価しています。
・表現の幅(Range)
・正確さ(Accuracy)
・流暢さ(Fluency)
・やりとり(Interaction)
・一貫性(Coherence)
・音韻(Phonology)
ここで、タスク遂行能力(Task Achievement)というものが先ほどのコミュニケーションにおける目的達成度になりますのでこちらの方が総合評価への影響は大きいです。そして目的を達成した上で発話の質、どれだけ上手に話せたかというものを付随的に評価しているのがこの6項目になります。
PROGOSはCEFRに準拠した英語スピーキングテストとなります。テストについては無料でお試しいただくことができますので、以下リンクより申込フォームへアクセスいただき、必要事項を記入の上お申し込みください。
それでは、どのように話すことができればB2になるのかというポイントを以下に説明します。
改めて、CEFR B2のレベルとはたとえ相手と利害が対立している状態であっても、なんとかしなきゃいけないというコミュニケーションが求められるということになります。この「相手を何とかする」というのは談話として成立するという状況になります。
たとえば、あなたが話をしている相手が「なにを言っているのかわからないけれど、よくしゃべる人だな」と思われている状況ではB2としては認定されないということになります。
英語の談話として成立させるためには、それなりの会話のテクニックが必要となってきます。
ここからは、そのテクニックの例を紹介します。
先ほどのセールスパーソンの例に戻りますが、まず「セールスパーソンが物を売る」という状況において物が売れない人は基本的にB1のレベルに到達しません。B1レベルは基本的な目的が達成できる状態というイメージだと思ってください。
ここからさらに目的が達成できる人たちがいかに効果的に効率的にその目標を達成できるのかという発話の質を上げるっていうような考え方が必要になってきます。
そこでスピーキングスキルの発話を「何を」「どのように話すの」という二つの切り口で分解してみたいと思います。当然ながらコミュニケーションなので、「何を話すのか」そして「どのように話すのか」が重要になります。
「何を話すのか」については、正しいか間違えているかの2つしかありません。たとえば、靴を売るという状態で靴を売っていれば、それは正しいとなりますし、そこで帽子を売っていたり、またはそもそも物を売っていなければ間違えになります。この「What」という部分は目的の達成度に関わってくるということになります。
そして「どのように話すか」は、ただ「買ってください」ではなく、どれだけ効果的に効率的に達成するのかという部分において、言いまわしや表現の適切さなどが必要となってきます。
ここで先ほどの発話の質の6項目の話になるのですが、基本的に「何を話すか」とは正確さ流暢さ発音に反映されます。そして「どのように話すのか」は表現の幅ややり取り、一貫性というところに反映されてきます。
「何を話すのか」「どのように話すのか」というレベルをあげていくために必要なスピーキング方法について、B1からB2にあがるために必要なことについて、そもそもコミュニケーションの目的が達成できるレベルにおいては、レベルをあげるためにただ惰性で英会話レッスンなどの
英語学習を続けていてもあまり変化は出てきません。
そもそもコミュニケーションが取れるので惰性でレッスンをこなしてしまうと何回やっても同じことの繰り返しのようなレッスンになってしまいます。この場合、各種効果が見込めないので、学習者が主体的に話し方や学習を変えていく必要があります。
つまりレッスンを受けるときには講師に依存するのではなく、B1以上のレベルであれば学習者自身の自律的な学習設計というのが必要になります。
この学習設計で意識していただきたい点は3つあります。
日本語ではそんなことないのに、外国語になった瞬間に質問の意図をあやふやに理解したまま話すケースがあります。特に英語は日本語と違ってローコンテクストな言語であり、察する文化の言葉ではありません。内容を言語化して明確に理解する必要があります。求められている回答がなにか、求められている回答は何か、そしてその回答が端的に「はい」「いいえ」だったり、「それは〇〇だ」っていう単純な回答だけではなくて、回答の内容をサポートする十分な情報が含まれているかという点も意識してください。
特にプレゼンテーションやスピーチなど一方的に話すシチュエーションでの発話になりますが、発話にまとまりがある話し方を意識してください。
英語での談話というのは大きく3種類に分かれます。
1)ナラティブ・プレゼンテーション
会話の流れと結論をつけるような時系列での話し方
2)ディスクリプション
プレゼンテーションの回答をサポートする展開です。英語は結論ファーストの言語ですので、まずは何を言いたいかで、それに対してなぜそう考ええているのかという理由の裏付けとなる ディテールや事実、データの話だったり、または実際のご経験の話をつけていきます。これがあって初めて質問に対する回答となり相手に主張が伝わります。
3)上記ふたつの発展型
一つの解答をただ主張するだけではなくて、それの正当性をしっかり主張して相手にもあわよくば相手を説得すれば交渉の場面で皆様がおそらく自然に使われているような談話になります。
こういった話の展開はこれも一つのテクニック展開でして、覚えて使えるようになっていくということが必要になります。ただひたすらに「これをこうしてください」っていうようなことを主張するだけでは談話としてはまとまりがないと評価されますので、上述しました3つのパターンを意識しながら応えていくだけで英語のスピーキングはまとまりのある状態になります。
最後にご自身が一方的に話す場面ではなくて相手がいてやり取りをするというような
シチュエーションです。
日本語では意識せず普通にやっていることだと思いますが、会話をしていくときに自分の意図通りに話題を進められるかということになります。
もちろん外的要因もあるので結果論は別の話ですが、重要なのは自分が意図的に会話を進めるためのスピーキングができているかというというのがポイントです。
その一つ目がまず話しかけであり、スターティングカンバセーションともいうものとなります。
いきなり自分の話をしはじめたら相手はびっくりしますよね。そうではなく、「ちょっとよろしいでしょうか」とかまだ相手が別の話してる状態だったら「ちょっとお邪魔します。この件についてお話しさせていただいてもよろしいでしょうか」というような皆様が普段日本語で配慮されてるようなことをしっかりと話しかけのテクニックとして実践しましょう。
二つ目は会話の継続です。
日本語でも当然ですが、会話をしていくなかでたまに微妙に空気が気まずいということがあったりすると思います。その時にうまく切り抜けたり、その話から少し広げて拡張していく、もしくは会話のトピックを変える、または少し話題が広がりすぎたので話を戻すといったことになります。これらのテクニックを母語である日本語では意識せず使っていると思いますが、英語でも同じように使っていくことが大事です。
三つ目に会話の終結を意識してください。
会話の終結というと少し大げさに聞こえてしまうかもしれませんが、基本的に会話が終わる時にはなんとなく頃合いを見計らって会話を終結に向かわせていると思います。
「じゃあまたお話ししましょう」とか「今日お話できてよかったです」とか「貴重な時間ありがとうございました」みたいな会話を終わらせるため何かお話をしてるかと思います。こう言ったフレーズを英語でもあえて使うということが非常に重要になります。繰り返しになりますが英語はローコンテクストな言語になりますので、なんとなくとか空気をなんとなくお互い察して言葉にせずに終わる、または始まるみたいなことは基本的にないと考えたほうがいいと思います。
以上3点を特に英語での発話の際に気を付けていただくだけで、みなさまのすでに流暢な英語力というところがB1からB2に上がることができてくると思います。
さて、「CEFR B2」レベルの価値と到達するための学習についていかがでしたでしょうか。
B2レベルになる意味はあるのだろうか?といった疑問や、B2レベルとはどういうことだろうか?と考えている方へこの記事が役に立てれば幸いです。
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