導入事例 | 株式会社プロゴス

英語ができるだけでは、真のグローバル人財ではない。真のグローバル人財とは?

作成者: レアジョブ広報担当|22/09/02 1:10

次期経営幹部候補に求める《英語力×グローバルマインド》

プロゴス社:まずは、BSIジャパン社様についてご紹介をお願いいたします。

浅見様:当社はイギリスに本社を置くBSIグループの日本法人です。BSIグループとしては規格策定、製品やマネジメントシステムなどの認証、試験、検査、品質保証及び教育・研修などを通して、あらゆるお客様のビジネスをサポートするサービスを展開しております。グローバルカンパニーとして、世界31カ国87カ所にオフィスを構え、193の国と地域で84,000以上のお客様との取引があります。

プロゴス社:今回「次期経営幹部候補向け研修」を実施された背景や、BSIジャパン社様におけるグローバル人財育成の課題をお聞かせください。

浅見様:当社はグローバルカンパニーなので、世界各国のスタッフが参加するグローバル会議が英語で行われています。そうした場で「日本人は黙ってばかりいる」「何を考えているのかわからない」という声が少なくありませんでした。ビジネスシーンでは会議のファシリテートやこまめなコミュニケーションなども重要なので、ただ英語力が上がればよいわけでもなく、こうした現状を打破したいという当社の経営課題が背景にありました。

最終的に「英会話」と「マインド」の2軸を重視することにしたのですが、プロゴス社様と一緒に研修を設計するにあたって、まずは「短期間での英会話スキル向上」をテーマに考えました。次期経営幹部候補人財には確実に英会話力が必要だと思ったためです。ただ、過去の英会話研修を振り返ってみると、英会話力の向上はみられたものの、英語に対する苦手意識が払拭しきれていないメンバーが一定数いたため、「マインドセットの醸成」についてもテーマとして考える必要があるという考えにいたりました。

経営戦略としてDiversity & Inclusionを推進していることもありますが、英語に対する苦手意識の強いスタッフや、英語は堪能なのにグローバル会議でうまく意見を発信できないスタッフが、日本国内では活躍できるのにグローバルの舞台ではプレゼンスを発揮できないという状況を打破し、言語の壁、バックグラウンドの違いを超えて理解しあおうとするマインドを培ってほしいと考えました。
これら当社の経営課題に対して、「英会話スキルの向上」と「マインドセットの醸成」というテーマの研修を、一気通貫でご提供いただけるプロゴス社様に魅力を感じ、今回依頼をさせていただきました。

自分と向き合い、互いに励ましあいながら
研修を通して人財力と組織力を高めていく

プロゴス社:「次期経営幹部候補向け研修」の詳細についてお伺いします。まず、どのような方がご受講されたのでしょうか?

浅見様:名称の通り、この研修のターゲットは次期経営幹部候補者です。今回は10名が受講しました。部署、英語力のレベル、前職の経験など、属性はバラバラです。共通項は、研修開始前に実施したアンケートで「英語によるコミュニケーションに課題を感じている」と回答したことです。“英語を使えるかどうか”ではなく“英語でコミュニケーションできるかどうか”という点に課題を抱くメンバーを選出しました。
実は、受講者から「実務では英語を使わないのに、グローバル人財を目指す必要があるのか?」という声がありました。ただ、だから英語を使えなくてもいい、グローバルに目を向ける必要はない…という発想に陥ることなく「それでもチャレンジしてみよう」という姿勢こそ、当社ではスタッフに期待しています。積極的に挑戦する意識を秘めた人財の成長を後押しする意味でも、今回の研修に参加して自己変革を起こしてほしいと考えていました。

プロゴス社:実際の研修内容についても詳しくお聞かせください。

浅見様:次期経営幹部候補向け研修は下記の3種類で構成しました。

・グローバルマインドセット研修(10名参加・全3回)
・英語によるグループセッション(6名参加・週1回実施/オンラインレッスンで全24回)

・英語の個別学習(各自+期間中3回スピーキングテストを実施)
英会話力向上が求められるメンバーに対しては、グループセッションで集中的にフォローしました。グローバルマインドセット研修は、2021年8月、11月、2022年3月の3回に分けて実施しました。インプットとアウトプットを組み合わせた中身の濃い内容となりました。
これらの研修とは別に、メンバー主導のチームミーティングも月1回以上のペースで実施してもらいました。業務上のやり取りは少ないものの、せっかくの横のつながりから一体感や仲間意識を大切にしたいとの想いから、研修に基づく活動の進捗報告、悩みの相談、英語学習情報の紹介など
自由に話していたそうです。コロナ禍でリモートワークが主体となってきた近年、あえて時間を
作って話をする貴重な場となりました。グローバルマインドセット研修でワークショップを実施したチーム分けをそのまま活用しました。


講師:私自身の過去30年間の企業教育の経験から、「企業教育は《人財育成と組織開発の両輪》が不可欠だという信念」に至りました。そして、「企業のグローバル化」も“個の力(人財力)と組織の力(組織力)”の掛け合わせによって初めて成功する、という考えの基、「グローバルマインドセット研修」も、個人の能力を高めるだけではなく、組織力を高めることを目指しています。

受講生が自社のグローバル化について様々な観点から討議し合う中で、自社のグローバル化を俯瞰的に自分事として捉えながら、グローバルマインドを醸成していきます。と同時に、受講者同士が、お互いの成長を啓発し合い、研修からの学びを職場・仕事に展開していくよう支援し合うLearning Organization【学習する組織】に成長していきます。

※人財力と組織力は、7つのポイントに分解できます(詳しくはこちら

浅見様:実際の受講者からも、先生が挙げてくださったポイントが印象的だったとの声が多いです。意外でしたが、グローバルと名の付く研修でありながら、異文化よりもむしろ日本文化について学ぶことがたくさんありました。日本人のルーツまで紐解きながら、日本的価値観の源泉やアイデンティティを理解することでこそ、異国や異文化への興味が生まれるのだと実感しました。研修後、「グローバル会議に参加する際には、必ず相手の国や文化を調べるようになった」という受講者もいます。

ビジョンはキャリア形成の設計図
目指す未来に向けたアクションを日々の行動に落とし込む

プロゴス社:最も印象的だった研修の取り組みも教えてください。

浅見様:「ビジョンマップ」の作成です。いつまでに、どうなりたいのか…というビジョンを持つことは、誰でも少なからず行っているもの。ただ、それを時系列に応じて具体化したり、アクションに落とし込んだりするところまでは、個人ではなかなか至りません。今回の研修では各自がビジョンマップを作成し、スローガンも掲げ、実現のための行動を互いに報告するというプロセスがありました。画期的かつ非常に有意義な経験になったと感じています。

 

佐々木様:私自身、ビジョンマップを作成するのは初めての経験でした。実際に書き出したうえで、自分の現在地やビジョン実現には何が必要なのかを考える。さらには、スローガンも作って自分を鼓舞するところまでまとまっているので、改めて「ビジョンを実現するのは自分なんだ」と可視化される…目からウロコの体験でした。

 

講師:グローバル環境では、英語が話せても、自身のビジョン・想いを、自分の言葉で語れない人やリーダーは信用されません。ビジョンマップは、ぼんやりとしている将来イメージを、自分自身の言葉で書き表す事に重要な意味があります。なぜなら、自身のビジョンは他者から与えられるものではなく、一人ひとりの心の奥底に存在し、そこから湧き出て来るものだからです。

自分自身を突き動かすものが何なのかをしっかりと見つめ、言語化する。しかも、1回で終わりではなく、繰り返し内省し突き詰める。さらに、他者に語ることでより一層イメージを明確化させていく。本研修では、この積み重ねの中で自分自身のビジョンを明確化していきます。また、このプロセスに“エンパワーメント”が想像以上のパワーを発揮します。《ビジョンを書く→
発表して聴いてもらう/相手の発表を聴く→エンパワーメント(承認&応援)し合う》ことで、ビジョン実現への自信と意欲が更に引き出されます。

浅見様:先生のお言葉通り、エンパワーメントは参加者にとっても非常に印象的だったとの声が多かったです。参加者は業務上、仲間や部下のエンパワーメントを求められる立場なので、言葉でしっかりと応援される実体験が、自らの自信を育むのにもつながったようです。

プロゴス社:研修の最後には、経営陣もご参加されたそうですね。

浅見様:最終回の研修では、当社社長やAPACのPeople Development Managerの前で、受講者全員が英語でプレゼンテーションを行いました。次期経営を担うリーダーとして、この研修の学びをどう生かしていくべきか。それぞれの考えを英語で表現するという貴重な機会だったと思います。この研修の実施、そして受講者のチャレンジに対して経営トップから送られた拍手には、成果への称賛と今後への期待を感じられました。
もともとは、本講座内に英語プレゼンテーションは組み込まれておりませんでしたが、「英語力の向上に向けた努力の成果も見せたい」という想いもあり、英語の成果発表の場をお願いしました。また、グループレッスンの参加者には英語の成果発表を見据えて、プレゼンシチュエーションを組み込み、フォローいただきました。

講師:英語での最終プレゼンテーションは、お互いに研修の成果を確認し、披露しあう好機となったと思います。皆さんの自信と、互いに負けられないという良い意味でのライバル心にもつながったのではないでしょうか。経営陣の方々の前で英語プレゼンテーションをするという緊張の場においても、堂々とやりきれたという事実が、受講者の皆さんにとって良い成功体験と更なる成長への意欲になったと思います。
今回の研修では、もともと皆さん高いマインドとタレントをお持ちでしたが、個々に秘めていたビジョンや想いを、この研修で発信し共有し合う場になったのではないでしょうか。その成果として、部署間や個人間の強い結びつきのある、次期経営幹部候補のリーダーチームが【成長し続ける組織】へと進化されたのだと思います。その力を人と組織のさらなる成長発展へとつなげていただく事をお祈りしています。

ビジョン実現の意志を行動で示すリーダーの姿が
組織をけん引する力となる

プロゴス社:研修後の変化や成果はいかがですか?

浅見様:研修中に『コンフォートゾーンを出る』という講義があり、とある受講者が研修中から「1つ上のポジションに挑戦する」と明言していたのですが、彼/彼女は有言実行で社内公募にチャレンジし、実際に異動しました。これほどの短期間でも行動変容を実現できていることには驚きました。チームミーティングも継続的に行われていますし、TOEIC®L&Rスコアのアップなど、さまざまな面で研修実施の成果が出てきているのでうれしいです。

佐々木様:やはり「日本語でできないことは英語でもできない」という考え方は、多くの受講者にとってもインパクトのある新しい発見だったのではないかと思います。グローバル会議だと英語だから黙ってしまう…という以前に、日本語の会議には能動的に参加できているのか?言語以前の、真の意味での“マインド”に見直す点はないか?そうした投げかけが、日々の行動から変化させていくきっかけになったと思っています。

プロゴス社:最後に、今回の研修を踏まえて、今後の展望をお聞かせください。

浅見様:当社では、グループ全体でさまざまな価値観を大切にし、Diversity & Inclusionを推進しながらイノベーションにつながる活動を実施しています。お客様の企業価値を高めるサービスを提供する上で、今後はさらに我々社員一人ひとりが広い視野を持ち、新しい価値を生み出すイノベーティブでチャレンジングな人財にならねばなりません。今回の研修は当社にとって初の試みでしたがグローバルで活躍するための英語力とマインドセットの両方を高めるという点で、我々の目指す人財像にとてもマッチする内容でした。当社のニーズに合った研修をご提案くださったプロゴス社様に感謝いたします。

自国文化の理解を深め、お互いの価値観を認め合う。自らも確かなビジョンを持ってチャレンジし続ける。そして、仲間のビジョン実現をサポートする。決して簡単にできることではありませんが、今回の受講者には日々のコミュニケーションを通じて、このグローバルマインドをより多くの仲間に展開してもらいたいと期待しています。HRとしては、リーダーとして組織をけん引してほしい人財に向けて今後もこうした研修機会の提供を通じて、当社の事業を発展する人財育成に努めていきたいと思います。