【セミナーレポート】前編 学生の英語力向上のため次世代型英語スピーキングテストの効果的な活用方法とは?オンラインセミナー

2021.09.28

 

オンラインによる学習やテストの活用は、デジタルトランスフォーメーションや新型コロナウィルスの影響で加速度的に進んでいます。このセミナーではPROGOSスピーキングテストの採用により成果を上げた2つの事例をご紹介いたします。


7月28日に開催いたしました「学生の英語力向上のため次世代型英語スピーキングテストの効果的な活用方法とは?オンラインセミナー」において、
・同志社女子大学 表象文化学部英語英文学科 教授 今井 由美子 氏
・中央大学 国際センター事務室 担当副課長 胡麻本 太 氏 (別ページに遷移します)
をゲストにお呼びし、セミナーを開催いたしました。

お二人の講演内容をレポートさせていただきます。

学生に寄り添ったスピーキング力向上支援 ~学科としての取り組み~

 

<登壇者>

正方形_写真:今井由美子様


今井 由美子 氏

同志社女子大学 

表象文化学部英語英文学科 教授

 

専門分野は英語音声学、リスニング指導と語彙学習
M.S. in TESOL (Central Connecticut State University, USA)
博士(英語英文学、同志社女子大学大学院)

 

同志社女子大学表象文化学部英語英文学科では、1年生から2年生へ継続する形でリスニング、スピーキング、リーディング、ライティンの指導を行っています。TOEIC® L&R、TOEFL® といったテストについても、年に1、2回というペースで継続的な受験を進めて参りました。また当校では、英語で受講できる専門分野の講義も学年ごとに用意しています。1年次から『英語で学ぶ』環境を整え、2、3年生でさらにそれを充実させ、4年生では各自が卒業研究に取り組む、というが4年間の流れです。

 

1.スピーキング力向上への期待と現実

 

こちらは、当学科の学生を対象に行った調査結果をまとめたものです。まず1年生を対象に行った調査では、『大学の英語学習でもっとも力を入れたいスキル』として、約76%の学生がスピーキングをあげています。これは『読み書きはできるし、聞くことも大学入試に備えて練習した。でも話すスキルは、まだまだ足りないと思う』ということでしょう。次に全学年を対象に行った調査結果を見ると、2年生以降になっても多くの学生がスピーキングに苦手意識を持ち続けていることがわかります。その理由としては、『練習の仕方がわからない』『なかなか結果があらわれないから』といった回答が多く見られました。

 

 

このような回答の背景には、学生がスピーキングやライティングといった産出的能力を評価されることに慣れていないことがあると思います。過去にはTOEIC® S&W の受験料援助など、スピーキングテストの受験を促すための機会も設けましたが、受験者数は思うように伸びず、学生にとってスピーキングテストがハードルの高いものであることを実感しました。先ほどもお話ししたように、学生の多くは入学時、スピーキング力を向上させたいという気持ちを持っているものの、スピーキング力の“現在地”、つまり自分がスピーキングというスキルに対してどのレベルにいるかを確認することなく、授業はスタートしてしまいます。そして、いざ評価されることが機会として与えられたときには、現実を知りたくないという思いが生じてしまう。私たちは学生がスピーキングテスト受験を躊躇する理由を、このように捉えました

 

2.スピーキングテストの高い受験率への工夫


 

その後も学生への聞き取り調査などを行った結果、学生のスピーキング力を伸ばすために解決すべき問題点が見えてきました。1つは『学生が自分のスピーキング力のレベルや弱点を把握できていないこと』、もう一つは『スピーキング力を向上させる練習方法の提示が不十分であること』です。2020年度にはこれらの問題点に対処すべく、2種類の取り組みを実施しました


 

一つ目は、学生に現在の自分のレベルと弱点を把握してもらうことを目的とした、スピーキングテスト『PROGOS 』の活用です。対象は1年生と2年生で、原則必須受験としました。PROGOSはオンライン受験が可能なので、時間や場所を問わないという利便性があります。自動採点のため、受験から結果が出るまでが非常に短時間であること、同じタイミングで大人数が受験しても対応可能なことも大きなポイントでした。

一方、未受験者への対応は大変でした。受験していない学生を探し出して連絡をしたり、その後も受験したかどうかを確認したりといった作業を徹底して行ったことが、97.6%という高い受験率につながったと思います。

PROGSの採用により学生のスピーキング力をCEFR-Jのレベルで確認できたこと、TOEIC L&Rのスコアと比較できたことは、その時点でのスピーキング力の可視化につながりました。また、受験者ひとりひとりにレポートが展開されるので、学生は自分が今どのような状態にいるのかを正確に理解した上で次の学習目標につなげるという学習の下地もできたと思います。

 

3.授業内で一斉受験

2021年度の学科としての取り組みをご紹介させてください。昨年度行いましたPROGOSの1、2年生への必須受験については、今年も継続して取り組んでいて、現時点で290名が受験済みです。今回は私がコーディネーターを務めているリスニングの授業の中で、非常勤講師の先生方の力もお借りしながらホール教室で一斉受験をいたしましたので、パソコン操作が苦手だという生徒のフォローもできましたし、受験漏れもかなり防げたと思います。

また、「他の学生と一緒に受験すると、自分の声が聞かれて恥ずかしい」と受験を躊躇する学生に対しては、私から直接アドバイスをいたしました。アドバイスといっても一言、『どんな雑音にも負けず、誰に聞かれても躊躇しない強い志を持ってスピーキングに臨んでほしい』と言っただけなのですが、学生たちには響いたんじゃないかと思います。この言葉を聞いて勇気を得たのか、あきらめたのか、ほぼ全員がその場で受験してくれました。次回の試験は2022年の2月を予定しています。

4.オンラインレッスンで不安材料を取り除く

先ほどお話しした学生への聞き取り調査の中では、ある学生からこんな意見が上がりました。

・日本語訛りの発音にコンプレックスがある
・スピーキングの授業では、ネイティブの先生に聞き返されることを恐れて英語を話すことをためらってしまう
・考えているうちにトピックが変わってしまう
・緊張して、ネイティブの前ではうまく話せない

これらの言葉から見えてきたのは、学生が不安材料を抱えながら90分の英語の授業に取り組んでいるという実態でした。

この学生は私のゼミ生でもあるのですが、彼女はその後、スピーキングに対するコンプレックスを解消するために、比較的安価でマンツーマン授業が受けられる短期のフィリピン留学を実現させました。するとわずか1カ月で、彼女のスピーキングに対する考えは大きく変わったのです。

彼女は留学したことで英語を気軽に話すことの楽しさを学んだと言います。さらには自分らしさを認めてもらう感覚、日本語訛りの英語でも堂々と話せるという達成感、これまでのスピーキングの授業では感じられなかった解放感も感じた、と。アジア人同士、英語を使って気持ちを伝え合った経験を、彼女は『同じ土俵に立っている気がした』という言葉で表現しました。この話を聞いた私はとれも嬉しく感じつつ、効果的なスピーキング練習方法を学生に提案すること、スピーキングに対する極度の緊張感や不安感を軽減することの必要性を改めて実感したのです。

 

 

そんな中、2019年にレアジョブ英会話の存在を知り、『日常会話コース』を1年生の希望者に2カ月間受講させることにしました。これが2020年度に実施した二つ目の取り組みです。その背後には、オンラインレッスンという新しい英語学習の可能性を探りたいという思いもありましたし、英語を第二言語として学んでいるフィリピン人講師が指導を担当するということで、学生の不安要素に寄り添った心理的サポートも得られるのではないかという期待もありました。

 

 

16回のレッスン終了後に行った意識調査によると、多くの学生が自分のスピーキング力向上を実感し、以前よりも自信が持てるようになったと感じています。さらに注目したいのは、質問7への回答です。レッスンを通して学んだことについて複数回答をしてもらったところ、「会話が続くことの楽しさ」という選択肢を、26名中22名の学生が選びました。わずか2カ月ではありましたが、学生が会話が続くことの楽しさを感じてくれたことは、一番のプラス効果だったと私は思っています。これがきっかけとなり、今後のスピーキングの練習にも継続的な取り組みが期待できるというエッセンスも感じました。

レアジョブ英会話の受講についても、今年は39人の応募者から10人を選び、2ヶ月間受講してもらいます。私たちのサポート不足という前回の反省点を踏まえ、今回は各自のレッスンスケジュールを事前に提出してもらうと同時に、レッスン後の振り返りとそれに対する私からのフィードバックも行う予定です。この取り組みに関してはまた調査を行いますので、今年の学生と去年の学生と受験生の中でどういう違いが出てくるか、結果を待ちたいと思います

Q&A

<質問>

オンライン英会話会社は、どのような基準で選ぶのがいいでしょうか?

 

<回答>

受講者にとって一番気になるのは、費用ではないかと思います。あとはどのようにレッスンが行われるのか、自分の好きな時間が選べるのか、という点ではないでしょうか。レアジョブ英会話は費用もリーズナブルですし、講師数も多いので、自分の都合や相性に合う先生を選ぶこともできます。中には授業の合間にレッスンを受ける計画を立てた学生もいて、時間を有効に使っていると思いました。

 

後編に続きます。

 

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