【セミナーレポート】後編 学生の英語力向上のため次世代型英語スピーキングテストの効果的な活用方法とは?オンラインセミナー

2021.09.28

 

オンラインによる学習やテストの活用は、デジタルトランスフォーメーションや新型コロナウィルスの影響で加速度的に進んでいます。このセミナーではPROGOSスピーキングテストの採用により成果を上げた2つの事例をご紹介いたします。


7月28日に開催いたしました「学生の英語力向上のため次世代型英語スピーキングテストの効果的な活用方法とは?オンラインセミナー」において、
・同志社女子大学 表象文化学部英語英文学科 教授 今井 由美子 氏 (別ページに遷移します)
・中央大学 国際センター事務室 担当副課長 胡麻本 太 氏
をゲストにお呼びし、セミナーを開催いたしました。

お二人の講演内容をレポートさせていただきます。

全学的にスピーキング力向上への意識を高める取り組み ~学内(全学)における事例~

 

<登壇者>

正方形_写真:胡麻本太様


胡麻本 太 氏

中央大学 

国際センター事務室 担当副課長

 

中央大学 国際センター事務室 担当副課長
2001年ノーザンアリゾナ大学卒業後、中央大学に入職
文学部事務室、研究支援室等を経て官民協働海外留学創出プロジェクトトビタテ!留学JAPAN出向。2019年より現職。グローバル化推進及び外国語講座運営担当

 

1.中央大学について

本学は1885年に創設されまして、現在は学部生が約25,000人で大学院生が約1000人、2年前に設立された国際経営学部、国際情報学部を含め、8つの学部があります。伝統的に司法試験が非常に強い大学で、 2020年の合格数は全国4位、公認会計士合格者数もかなり多くて、こちらも全国4位。資格に強い大学というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。キャンパスは八王子や後楽園など都内に4箇所あり、近年は外国人留学生と日本人学生が交流できる国際教育寮など、グローバル関連施設も新設いたしました。私は現在、中央大学の国際センターで、グローバル化の推進と外国講座の運営を担当しています。

 

 

2.「外国語講座」とその課題


 

私が2019年に着任した当初に課題としてあったのが、受講者層が限られていることでした。海外留学する学生を増やしたい、TOEIC® L&R で高いスコアを取れる学生を増やしたいということで、そこだけに注力する形になっていたのですが、ちょっと内容が「読む」「聞く」にと偏っているんじゃないかな、という印象を受けました。学生の中には留学対策やTOEIC以外にも、例えば外資系やグローバル企業で働きたいとか観光業界に興味があるとかもっと幅広いニーズがあるはずで、そういうニーズに合う講座を設ければさらに多様な学習ニーズを拾えるのではないか、と。また、学生が忙しい中でも受講を検討できるよう、対面式意外の学びの形があってもいいのかな、なんていうことも考えていました。

もう一つ感じたのが、本学が提供していた外国語講座と、社会で求められる人材像のギャップです。特に社会に出てから実践的に使うための英語力、中でもスピーキングを含めたコミュニケーションスキル、実践の場面を想定したトレーニングの場が圧倒的に不足していました。そこで2020年度にはプレゼンやディスカッションの練習をする「実践トレーニング講座」、就職活動を見据えた「英語面接対策講座」などを追加し、受講生数も800人ほどから1500人前後まで伸びたのですが、一方で、新しく設けたスピーキング・ライティングのクラスに思ったほど受講者が集まらなかったり、コミュニケーションを主体とするクラスのレベル分けができず、英語力の高い学生も低い学生も満足できない内容になってしまったりといった新しい課題も出てきました。

 

3.オンライン英会話導入も検討中

コロナパンデミックが外国語講座に与えた影響には、もちろんネガティブな面もありましたが、オンラインの授業を受けることに対する技術的、心理的なハードルが低下したことは、ポジティブな影響と受け止めています。私はポストコロナに向けてもいくつか可能性があると思っていて、1つは同志社女子大学さんでも既にされているというオンライン英会話。こちらは私たちも導入しようかと思っています。やっぱりアウトプットの場は必要ですし、先ほどもお話ししたように対面型グループ学習にはレベル分けを充分に行えないというデメリットがありますから、マンツーマンのレッスンはひとつの解決策になり得るでしょう。

これと同時に、やはりオンライン英会話をやるのであれば、スピーキングテストも実施して客観的に効果測定をしたいということや、スピーキングテストを活用することで学生のスピーキングへの関心を高めたい、といったことも考えるようになりました。

4.PROGOSテスト導入の決め手

 

プロゴス導入に至った経緯についてお話ししますと、一番の狙いは学生の英語学習意識に変化をもたらすことでした。手軽に受験できるスピーキングテストがなかったこともあり、学生の大半はスピーキングテスト未経験でしたから、何かしらスキル測定の機会を設けよう、と。テストによって自分の実力把握した上で、今後の学習に役立ててもらいたいという思いがありました。

 

あとはモチベーションの部分ですね。英語学習は結果が出るまで時間がかかるからモチベーションを保てない、という悩みをよく耳にしていましたので、スピーキングテストを導入することで学習意欲の維持、向上につなげたいという期待もありました。

 

導入にあたっては、いくつかの懸念もありました。例えば、認知度の低さに対する教員の反発、AI採点の信頼性、学生のスピーキングテストに対する関心度の低さなどです。これらの懸念材料への対応としては、まず自分と講座を担当する先生方が受けてみて、そこで得た所感を他の先生方に説明しようということに。学生に対しては、ただ「受けてください」と言うだけではなく、イベント等のプロモーション活動やスピーキングテストの意義の説明といった活動も実施しました。

 

2021年419日から518日に第一回テストを実施し、導入に至った決め手の1つは、キャンペーン実施期間中ということで無償提供が可能だったことです。予算化されていないお話が即時導入となったのは、無償のおかげだと思っています。有償版も1テスト550円と価格の優位性が非常に高く、来年以降の導入検討が可能なのも良かった点です。

もう一つは、管理のしやすさです。URLを発行してもらい、それホームページ上に貼り付けておけば、こちらからIDやパスワードを学生ひとりひとりに配布する必要がないという手軽さには、魅力を感じました。

 

 

受験者へのアンケート結果

トライアルを1カ月間実施して、採点まで終えたのが400名弱。初回実施時には情報が幅広く浸透するように、メールや特典の付与、セミナーなど結構いろいろなコミュニケーション・チャネルを使いました。採点まで完了した人を対象にしたアンケートによると、受験した理由は「無料だったから」とか「スピーキングレベルを確認したかったから」といった声が多かったようです。受験したメリットについても、8割以上の学生が「自分のスピーキングレベルを客観的に知ることができた」とことを挙げていますし、「強みと弱みが把握でき、何を勉強すればいいか分かった」と答えた学生も36%いて、ここは非常に良かったかなと思っています。逆に受験したデメリットについては、3割ぐらいの学生が「英語学習への不安が増えた」と答え、「問題内容が日常会話ではないため、何の役に立てられるかよく分からなかった」といった声も2割ほどありました。

 

 

私たちが一番興味があったのが、「受験後、英語学習について何か変化がありました?」という質問です。これについては一部消極的な声もあるものの、5割以上の学生が「英語学習へのモチベーション上がった」という回答をしてくれました。「スピーキングの勉強を始めた・始めたい」「積極的に英語で交流する場に参加できるように・したいと思うようになった」といったポジティブな回答が多く得られたのも、嬉しかったですね。 

 

今後の活用可能性

今回の導入には、いくつか副次的な効果もありました。1つは学部主催で実施している短期留学プログラムの応募資格に、TOEIC、英検、GTECと並び、PROGOSが加わったことです。このほか、英語で行われている学部の専門科目の授業で使いたい、学期中の授業の成果を測定したいといった事例も少しずつ出てきていますから、今後はさらに導入効果高めるために、受験者の追跡調査も行いたいと思っています。調査の中では、PROGOSを複数回受験する中で英語力はどのように伸びていくのか、PROGOSの結果を受けて学生はどのような講座を受講するのか、テスト受験がその後のアクションにどのような影響を与えるのかなどを検証する予定です。

今後は学習プロセスの中にスピーキングテストを位置付けることで、テストを受けて、その結果を踏まえて学習をするというサイクルを確立したいですね。最終的にはスピーキングテストを活用したグローバル人材育成のモデル構築につなげられればいいと思っています。

 

Q&A

Q:スピーキングのパフォーマンスを評価する効果的な方法とは?

A:学生の語学力を測る指標は、複数あった方が良いと思っています。本学でもPROGOSをその1つの指標として、ほかにもさまざまなテストを複数用意して組み合わせて行くつもりです。オンライン英会話も含めたいろいろな語学講座と組み合わせながら、学生に定期的にスピーキングテストを受けてもらうことで、通常は漠然としてとらえにくいスキルや伸びを可視化してくことが大事だと考えています。

 

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