導入事例 | 株式会社プロゴス

価値観を理解し、グローバルビジネスを伸ばす。次世代のリーダーに求めるスキルと日本人社員の課題

作成者: レアジョブ広報担当|22/09/12 2:03

日本は特別、中心地…という発想は捨てる。
グローバルビジネスの展開を加速する組織づくり

プロゴス社:2022年、御社ではグループとしての中長期経営方針の更新やグループ内の体制変更など、大きな変革の波を起こしているという印象です。

作川様:ビジネスのグローバル展開加速に伴って海外の事業会社が増加してきたことから、グループ理念 “Asahi Group Philosophy(AGP):期待を超えるおいしさ、楽しい生活文化の創造”を掲げました。AGPを実現するための長期戦略があり、そのコンセプトは「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」です。
AGPの実践、長期戦略の実行に加え、事業ポートフォリオの実行においても、すべての源泉は“人”であり、人材の意志や戦略があってこそビジネスを推進していけると考えています。この前提のもと、人的資本の高度化を通じて戦略基盤を固め、グループ全体のCapability強化を図ることがアサヒグループHD社HRのミッションです。
2022年1月に、これまでアサヒグループHD社で管轄していた日本事業を、アサヒグループジャパン株式会社を設立しそこに移管。アサヒグループHD社は、グローバルにグループを管轄する(Global Head Quarter:GHQ)として、事業ポートフォリオの設計や各エリアに向けた経営資源の配分をフラットに行う役割に変更しました。

アサヒグループが求める
次世代のグローバルリーダーとは?

プロゴス社:グループの体制変更により、人材に求めるスキルやケイパビリティも変化してくるのではないでしょうか?人材育成の方針についてもお聞かせください。

作川様:2021年3月に、新しいグループ人事基本方針として「ピープルステートメント:学び、成長し、そして共にやり遂げる(Learning, growing, achieving TOGETHER)」を策定しました。人材育成の軸でもあり、制度や研修の設計もピープルステートメントをベースとして構築しています。

アサヒグループHD社では日常的に海外とのやり取りが発生するので、社員にはジェネラルなスキルとして英語を使いこなせることを求めます。英語はあくまでもコミュニケーションのツールなので、それを土台として、各自の業務の専門性が必要になるというイメージですね。高い専門性も同様に、グローバルなビジネス展開には必須の要素です。したがって、人材育成においてはジェネラリティ(英語)とスペシャリティ(各業務の専門性)の2軸を伸ばしていくことを方針としています。

また、アサヒグループHD社では、新たに設立した国内事業会社を含む各Regional Head Quarter(RHQ)でリーダーシップを発揮して事業をけん引していく人材の育成を担っています。研修では「アサヒグループの価値観の理解」「事業戦略、経営戦略の理解」「リーダーシップ開発」という3つの視点を重視しています。そのなかでもプロゴス社さんからは「リーダーシップ開発」のための研修をご提案いただきました。

 

プロゴス社:研修の詳細やどのような方がご受講されたのかお伺いできますでしょうか?

作川様:今回実施した研修の対象は大きく分けて2グループあり、1つがGHQのNo.2階層、もう1つが国内グループ各社から選抜された若手社員です。
GHQのNo.2階層は、いわゆる次世代のグローバルリーダーとして活躍を期待する次世代幹部層です。各RHQと連携しながら事業推進し、グループ理念を実現させていく役割があるため、グローバルで活躍するために必要となる姿勢や価値観を学ぶ「グローバルマインドセット研修」を実施し、「アサヒらしさ」とは何かを学びながらリーダーとしての自覚や考え方、貢献意識を醸成することに注力しました。
また、各RHQとのコミュニケーションのベースとなる英会話を短期間で強化するために成果保証型の「スマートメソッド®」を実施しました。


国内グループ各社から選抜された若手社員については、将来的にアサヒグループの事業をけん引する人材であるため、自身がどのようにキャリアを描き、どのように実現するかのプロセスを設計する機会を提供したいと考えていました。
「高付加価値ブランドを核として成長する“グローカルな価値創造企業”を目指す」というアサヒグループビジョンをテーマに、そもそもグローバルで働くとはどういうことなのか?グローバルで活躍できる人材とはどんな人なのか?を「グローバルマインドセット研修」や「アート思考ワークショップ」を通して考え、自社や自身の理解を深めながら言語化するトレーニングを行いました。
また、グローバルで活躍するには英語が不可欠なので、語学力向上、メンタルバリア払拭を目的として「レアジョブ英会話」も取り入れています。

今回プロゴス社さんには、アサヒグループが大事にしているグループ理念やピープルステートメントを踏まえた「アサヒらしい」企画・研修をご提案いただき大変感謝しております。

目標を定量的に定めることで
日本人社員の英語力を底上げする

プロゴス社:お話しいただいた通り、英語はグローバルビジネスで必須のスキルですが、特に日本人社員の英語力という観点での課題についてもお聞かせください。

作川様:前提として、グローバルビジネスを推進していくには、日本人社員の英語力は圧倒的に足りていない、と認識しています。そこで、2020年にアサヒグループホールディングスの社員として働く上で求める英語力を明確に定義しました。「英語が話せる」という表現では主観的で不明瞭なので、英語スピーキングテスト「PROGOS®」を導入し、メジャラブルな指標を定めています。
具体的には「アサヒグループHD社の社員は、2023年8月末までにTOEIC®Listening&Readingスコア800点以上+PROGOS® B1high以上に到達する」という目標を掲げています。アサヒグループHD社はアサヒグループのGHQとして日常的に海外とのやり取りを行うので、グローバルビジネスをGHQとして推進していくためには最低限上記の英語力を身につけましょう、というスタンスです。


プロゴス社:定量的な指標の設定は、学習のモチベーション維持やスキルの判断にとっても有用ですね。


作川様:この指標が本当に適正なのか、という意見はあるかもしれません。ただ、定められた目標に対しては真摯に取り組むという社風があるので、あえて定量指標を設定した、という背景があります。何を目指してがんばればよいのかわからず足踏みするくらいなら、まずはやってみる。もしうまくいかなければ修正すればいいのであって、まずはスピーディに前進してみようという思想で行動するのも、アサヒグループの価値観のひとつなんです。

人材への投資が、将来の事業経営を加速させる力に

プロゴス社:そうした意志決定にも、御社のチャレンジングな社風を感じられました。まさしく今、社会からも人的資本経営への関心が高まっていますし。

作川様:むしろ、少しずつ進めてきた取り組みが研修をはじめさまざまな形で結実し始めている段階だと、個人的には感じています。私が着任した2019年頃は、まだまだ人材への投資が十分とは言えない状況でした。

CHROと中長期的な企業経営を考えるうえで、なぜ人材育成に資源を配分すべきなのか。どんな人材を育成していくべきか。そういったことを経営陣に説明し、理解を得ていくプロセスは、なかなか苦労した部分でした。

大変ではありましたが、人的資本という発想も市民権を得てきたなかで、次世代のグローバルリーダーが出てきてくれるのを待つのではなく、生み出していく基盤が必要だという信念があったからこそ、ここまでの取り組みを推進してこられたと思っています。

 

プロゴス社:とはいえ、会社に向けて発信できるという社風があること自体、素晴らしいと感じます。

 

作川様:うれしいお言葉ですね。河口が推進しているDE&Iの取り組みについても同様で、そちらでは特にボトムアップでの意見の発信も推進しているんです。

河口様:先日は、 CHROと社員がオンラインでDE&Iについて語り合う取り組みを実施しました。CHROからすれば年齢や経験年数、またキャリア入社かプロパー社員などに拘らず、社員のリアルな思考を知ることができ、社員からすれば会社の方向性を理解することができる。双方向の意見交換からお互いの理解を深めあう場となりました。

プロゴス社:職位を問わずフラットなコミュニケーションが交わされているんですね。さまざま取り組みが、時代の動きよりも一歩も二歩も先に行かれているという印象です。
最後に、御社としての今後の人材育成の展望をお聞かせいただけますか。

作川様:人材育成は常に進化させながら継続していくものであると考えております。アサヒグループHD社のHRでは、GHQとしてグループ全体を見渡し、求められる人材育成をより一層推進していきたいと考えております。

プロゴス社:グローバルリーダー育成に向けた英語力やマインドセットの研修はもちろん、人的資本の高度化やDE&Iの推進など、グローバルビジネスを展開される企業としての先進的な考え方を学ぶことができました。本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。